戦国時代には、昔ながらの祈願による治療行為、
針やお灸などの漢方医療、
温泉などを利用した自然を利用した医療など幅広く行われた。
■加持祈祷 かじきとう
平安時代から貴族たちを中心に天台宗や真言宗の密教の流れから派生した医療。
病気平癒や災難回避を願って、祈祷師が専門に行った。
戦国時代には、全国にその風習が流れ、習慣化された。
武家や民衆の間にも深く信仰されるようになり、密教僧や修験者、陰陽師などが執り行った。
神社においては、祀られている神様や寺院の本尊への祈願としても使われた。
■湯治 とうじ
合戦で受けた戦傷治療のために温泉療法が用いられた。
領地内に温泉地を設け、家臣団の疲れを癒やすために用いられた。
武田信玄が用いた下部温泉、
秀吉が度々通った有馬温泉、
真田家臣団が用いた別府温泉、
九州の猛者・島津義弘が用いた吉田温泉などが有名である。
■金痩医 きんそうい
合戦で受けた刀傷や矢傷、鉄砲傷などを専門に治療した。
治療法は、止血薬を飲ませ、傷口の外科治療を施術した。
■後世派 ごせいは
中国伝来の漢方薬を用いて病気治癒を施す流派。
戦国時代には、田代三喜やその門人の曲直瀬道三(まなせどうさん)などが有名である。
曲直瀬道三は、足利義輝、毛利元就、織田信長、豊臣秀吉などを診察している。
■南蛮外科 なんばんげか
南蛮伝来の外科医術で、傷口の縫合や瀉血(しゃけつ)という小刀で切り開いて、悪い血を抜き取る施術、
焼灼という膿や潰瘍を火で焼いて治療するなど外科医術が主である。