戦国時代の女性の服装は、身分や立場によって大きく異なりますが、基本的には和装が一般的でした。この時代の女性の衣装には、日常生活や儀式に適したもの、または身分を表すものなど、さまざまな種類がありました。
1. 上流階級(武家や公家)の女性
武士階級や公家の女性は、豪華な衣装を身にまといました。
- 小袖(こそで)
- 戦国時代には、小袖が女性の基本的な衣装でした。
- この時代の小袖は、華やかな柄が施され、絹などの高級素材が使われました。
- 袖が比較的短く、動きやすさも重視されていました。
- 打掛(うちかけ)
- 儀式や結婚式などの特別な場で着用されました。
- 鮮やかな模様が施された豪華な外衣で、重ね着することで気品を表現しました。
- 袴(はかま)
- 武家の女性は、活動しやすいように袴を着用することもありました。
- 戦国時代後期になると、女性の袴は華やかな装飾が施されることが増えました。
2. 一般庶民の女性
庶民の女性の衣装は、機能性と実用性を重視したものが中心でした。
- 木綿や麻の小袖
- 素材は絹ではなく、木綿や麻が一般的でした。
- 模様や装飾は簡素で、染色も自然な色合いが多かったです。
- たすき掛け
- 家事や農作業などの際には、小袖の袖を「たすき」でまとめ、動きやすくしました。
- 肩衣(かたぎぬ)と裳(も)
- 中流の女性でも、簡単な儀式や冠婚葬祭の際には、肩衣や裳を着用して格式を整えました。
3. 戦場での服装
戦国時代の女性は、戦乱の影響を受けて、自ら戦場に出ることもありました。その場合、動きやすい衣装を選ぶことが多かったです。
- 軽装
- 薄手の小袖や袴を着用し、活動性を高めました。
- 防具の着用
- 一部の女性は軽装の上に「胴」などの簡易な防具を身に着けることもありました。
4. 季節と色
戦国時代の衣装は季節感や色彩感覚が重視されました。
- 春: 淡いピンクや若草色
- 夏: 薄青や白
- 秋: 紅葉色や深緑
- 冬: 黒や濃紺
特に上流階級の女性は、「襲(かさね)の色目」という重ね着の配色によって季節感や美意識を表現しました。
5. 髪型とアクセサリー
服装とともに、髪型や装飾品も重要なポイントでした。
- 髪型
- 上流階級の女性は、髪を結い上げて装飾しました(例: 勾玉髷(まがたままげ))。
- 庶民の女性は、髪を後ろでまとめる簡素なスタイルが一般的でした。
- 装飾品
- 扇子やかんざし、帯留めなどが用いられました。
- キリシタン女性の場合は、十字架やロザリオなどのアクセサリーも見られるようになりました。
戦国時代の女性の服装は、社会的な地位や日常の生活環境、さらには文化的な交流によって変化していきました。それぞれの装いにはその人の生活や信仰が反映されていたといえます。