武田信玄を始め、多くの戦国武将の常食は、玄米であった。
玄米は、現代においても、理想の完全食と呼ばれるほど、バランス良く栄養満点の食材とされている。
白米は、籾殻を取り除いた玄米からさらに精製して米糠(こめぬか)や胚芽を取り除いたもの。
白米の食べ過ぎで脚気を患うことが多々あったが、
これは胚芽などの豊富な栄養素が取り除かれた偏った食べ物となっていることにある。
炭水化物の取り過ぎは、膵臓、肝臓の疲弊、太り過ぎ、糖尿病になるなど、健康を害する要因となっている。
藤原道長は、脚気に苦しめられたとあるが、これは白米が原因とされる。
他にも明治期の海軍将兵の脚気問題も同じ。
1.玄米の有毒素
玄米は、理想的な栄養素が満点で、脚気を防ぐ。だが、困ったことに、
穀物の表皮には、細菌や病気を防ぐために毒素を有する。
玄米も例外なく、表皮に微量ながら、有毒素を擁する。
ゆえに、玄米だけ久しく食べると、玄米独特のアクによって、
えぐ味を感じ、食べ飽きする現象が起こる。
これは、体の拒否反応が起こっていることを示唆する。
この穀物の表皮の毒素は、細菌から実を守るだけでなく、
動物たちに捕食され過ぎることを防ぐために
防衛のために備わっているものである。
▼アブシジン酸(発芽抑制因子)の役割
・細菌やカビなどから穀米を守るためにある。
・虫や動物たちに捕食され過ぎることを防ぐためにある。
・長期保存するためにある。
ゆえに即効性の毒ではないが、食べ過ぎは体の毒になる。
”塵も積もれば山となる”で、微量な成分でも、常食として、
毎日食することで微量が蓄積される。
そのため、健康食とされる玄米を常食として、長い間食べ続けることは、
久しく毒素によって体(細胞)を傷付け続けることを招く。
武田信玄を始め、当時の戦国武将たちの多くが玄米食を常食として、一汁一菜の質素な食事を
摂っていたが、五十台前後が自然寿命の目安となっていた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E7%B1%B3「玄米」Wikipediaより
関東に覇を唱えた後北条家も玄米を主食とする一汁一菜の粗食を実践する家柄であったが、
北条氏綱、北条氏康、北条氏直などは、さほど長寿に至っていない。
玄米の毒とは、アブシジン酸(発芽抑制因子)と呼ばれる成分にある。
これらは、アクが強く苦味を持ち、虫や動物に副作用をもたらす毒性とされる。
体内に入ると細胞を傷付け、結果として病気を誘発させる要因となる。
アブシジン酸は、酵素阻害剤としての働きを成し、人体に悪影響を与えると考えられている。
発芽抑制因子が、体内の消化と代謝を阻害することで健康バランスを徐々に壊すと見られている。
https://honobono-seikatsu.com/1696.html「玄米には毒がある?簡単にできる毒の抜き方や美味しい炊き方」より参照
2.玄米の毒を薬に変えるひと工夫
玄米の表皮に含まれているアブシジン酸(発芽抑制因子)は、簡単に無毒化することができる。
1.玄米を乾煎りする
無毒化する方法の1つ目としては、玄米を乾煎りする方法である。
山野で修行を成す修験者の間では、玄米は乾煎りしてから長時間煮るという食べ方が伝わる。
200℃前後の高温にさらされた玄米は、表皮に含まれるアブシジン酸を始めとする酵素が熱分解を成し、
毒素が無毒化される。乾煎りした玄米は、水に浸しても、玄米が発芽しない状態になる。
これは、発芽抑制因子が働かなくなっていることを意味する。
2.玄米を発芽させる
玄米を無毒化する方法の2つ目は、玄米それ自体を発芽させる方法である。
玄米は言わば冬眠状態の種である。常温で水に浸して、発芽する環境にしてやれば、玄米は発芽し、
芽吹く。この状態になると、アブシジン酸(発芽抑制因子)が解除され、発芽する。無毒化された
状態となる。ただし、玄米はすべてが常温で水に浸したとしても、発芽するとは限らない。
3.発酵させる
米麹は、糠漬けや味噌など発酵食品の原料となる。
発酵させることで、玄米の毒素を無毒化させることができる。
微生物による分解能力によって、毒素が融解するためである。
無毒化する方法で言えば、確実なのは、面倒でも乾煎りしてから玄米を炊けばOKである。
こうすることで、長期間に渡って、玄米食を実践したとしても、微量とは言え、毒素を
体内に蓄積することなく、健康増進につなげることができる。
玄米の乾煎りが毎回、面倒であれば、玄米フレークを摂るのが手っ取り早い。
★玄米には、フィチン酸という酵素があり、発がん予防効果があるとされる。
https://www.kelloggs.jp/ja_JP/products/genmai-flake.html玄米フレーク 【公式】ケロッグサイトより参照
戦国武将たちは、生き残り戦略、ひいては、天下統一を目指し、日々、切磋琢磨して懸命に生きていた。
武勇を振るうために、日々の食事にも健康食へ活眼し、積極的な実践を試みていただろう。
だが、健康食として、目ざとく見つけた食物にも、大きな落とし穴がある。
公家社会を久しく苦しませた白米食による脚気に対して、それを防ぐ玄米食は、
武士にとって活眼の食べ物であったことだろう。
しかし、脚気を防ぐことはできても、微量な毒素による病気の誘発は、防ぐことができなかった。
健康長寿には、常に紙一重の栄養バランスが必要である。
それは、戦国時代でも、現代でも何ら変わることはない。