目次
概要
100年以上続いた戦国乱世に終止符を打ち、天下泰平の江戸幕府を開いた徳川家康の生涯を描く大河ドラマ。
今川義元、織田信長、武田信玄、武田勝頼、豊臣秀吉、石田三成など戦国屈指の武将たちが徳川家康の前に立ちはだかり、家康を窮地に陥れてきた。
死地回生の大博打をどのように打って出たのか。現代人の視点で徳川家康の生き様を描き出す。
かなり冒険的な
感想
時代考証があまいという感想が散見されるが、戦国ファンタジーとして見るしかないと思う。
火縄銃が連発銃のように連続発砲されているとか、清洲城が紫禁城のように広大無辺に描かれているとか、武田信玄が古代ローマ人化しているとか、まだ、桶狭間合戦なのに織田信長がすでに洋式甲冑姿にビロードマントを羽織って登場しているとか、色々賛否両論はあるが、誇張して描かれた戦国時代も、慣れ親しんだ人が見れば、面白い違和感で通るか。
ただ、戦国時代を初めて知ろうとする人が観ると間違った先入観知識が刷り込まれる恐れはあるが、万人受けする入門編として、致し方無いか。
織田信長の粗暴で畏怖すべき存在感・覇王感は、上手く描けていると思う。
木下藤吉郎秀吉も軽妙さ・知れ者の底知れない恐ろしさ感がよく出ていると思う。
徳川家康は、難題が次々と降りかかり、どうするべきかと思案する姿が印象的だが、回ごとにしっかりと解決策を見つけ出し、落ち着くあたりは無難な描き方だと思う。
第4回の清洲同盟の際にものの見方というシーンは、印象的である。
織田方の丸根砦を落とし、陥落寸前の今川方の大高城に兵糧を入れ、窮地を救出した松平元康は、織田方に対して、優勢であったと主張するも、木下藤吉郎秀吉がわかりやすく別のものの見方を披露して見せる。難敵・今川義元を上手く戦場に誘い出し、強襲で討ち取る。
誘い水として、まんまと松平元康は出汁に使われたという寸法だ。
これは一つの穿った見方として、面白い解釈だと思う。
今川義元も決して、無能な人物ではない。今川宗家の家督争いでは、異母兄・玄広恵探と熾烈を極めた戦い(花倉の乱)に勝利している。
桶狭間合戦の頃には、頼みとする軍師・太原雪斎を亡くしていたとはいえ、義元も軍法に疎いわけでもない。
先陣の戦況ぶり次第で進軍すべきかの判断くらいは、秤にかけていただろう。
松平元康が懸案であった大高城の窮地を打開した点は、今川義元が進軍すべき好機と捉えたことは十分考えられる。
結局は、一枚も二枚も織田信長の方が上手であったというだけであったのだが、その点は衝撃的な表現として、上手く描けていると思う。勝利の美酒に酔いしれる織田信長と不敵な笑みを浮かべながら愉快そうに桶狭間合戦の勝利の真相を語るひとつの”ものの見方”は、兵法の底知れぬ恐ろしさ、使い方次第で戦況・勢力図を一変させる破壊的威力を持つことを良く表現していると思う。